KURIBAYASHI DENTAL CLINIC

大きなガラスがたっぷりと自然光を採り込み、外部との境界線をなくしています。シンボルツリーは南米原産のフェイジョア。植物の持つ生命力は患者さんに精神的な安らぎを与えてくれます。

昔ながらのポール看板をリデザイン。30年前に建てられたビルの駐車場からのコンバージョン。ファサードのサッシ、空調設備、壁の断熱など人が過ごす上で必要な設備を整えて、クリニックとして機能する空間に生まれ変わりました。

夏には白い花が咲くシルバープリペットと30年前のレトロなガラスブロック。ウォールライトはデンマークから取り寄せたlouis poulsenのトルボー。

白い壁や天井は純白からわずかにグレーがかったオフホワイト。ヨーロッパでは一般的な塗装仕上。ブラウンの壁は掲示板。ピンが刺せるオランダ・forboのリノリウムを使用しています。中央はマガジンラック。雑然となってしまう診察案内や治療案内などの掲示物やチラシのために広めのスペースを確保しています。

受付カウンターはナチュラルビーチ(ブナ)材の突板とスチールのパンチングメタルを組み合わせたオリジナル。対面着席式の会計スペースには赤レンガ色のドイツ・vitra.のバーゼルチェア。グリーンはサンセベリア・ベラ。壁面収納の鳥のオブジェと時計はモダンデザインの巨匠イームズ夫妻のお気に入りのアイテムをセレクト。小物も一つひとつ丁寧に選んでいます。

グリーンとブラウンの壁は天然顔料を使用した、イギリス・FARROW&BALLの塗料をつかい深みのある美しい色に仕上げました。最奥の壁はブラウンに統一して奥行き感をだしています。天井高は2400mmと一般的な住宅と変わりませんが、終点をみせないことで圧迫感を感じさせません。

床はオランダ・forboのリノリウム。床に濃い色を持ってくることで、壁の鮮やかなグリーンが際立ちます。テーブルの上のグリーンはサンセベリア・エーレンベルギー。

柔らかな自然光が降りそそぐ特診室。明るく開放的な空間が患者さんの緊張をほぐします。ブラインドボックスには間接照明も仕込まれています。葉脈のようなチェアはドイツ・vitra.のベジタル。窓から見えるグリーンはフェイジョアとシマトネリコ。

カウンターの上のグリーンはフィカス・ウンベラータ。壁のグリーンと自然の緑がやさしく調和しています。

レストルームのグリーンはサンセベリア・ハニー。

> 一枚の壁に導かれた光に溢れる空間

 

栗林歯科クリニックは、限られた空間と開業資金の中でインテリアデザインとして成立するかという相談から始まりました。「昔の歯医者のようなしっかりとしたクリニックにしたい」という先生の要望とデザインに対するポジティブな姿勢。30年前に建てられたビルの駐車場からのコンバージョン(用途変更)ということで、本当に良い素材だけでつくられた「ヴィンテージマンション」をイメージし、10年後、20年後も輝き続ける空間を目指して取り組みました。

 

まずデザインとして成立させるために、できるだけオープンなプランとし、建具を減らすなどさまざまな工夫でコストを削減していきました。そして、建具の代わりとなる1枚の壁を外部から真っ直ぐ室内まで延ばし、見る角度によって開放感とプライバシーを両立させて空間を構成しました。マッシブな壁は自然光を室内に導くと共に、先生の要望であった「しっかり」をデザインでも表現できたと思っています。仕上材はできる限り時が経つほど「味わい」になる自然の材料にこだわり、アースカラーでまとめています。遮るものを少なくすることで風がよく通り、どの場所にいても窓から差し込む光を感じ、四季のうつろいと共に過ごすことのできる空間は、患者さんが安心して治療を受けられるだけでなく、先生のホスピタリティーがしっかりと伝わる空間になりました。10年後、外構の緑が大きく育ち、いい味わいになったクリニックを訪ねるのが今から楽しみです。

 

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KURIBAYASHI DENTAL CLINIC|栗林歯科クリニック

 

Website|kuribayashi-dental.jp

Category|クリニック(歯科)

Address|東京都江東区大島1-29-8

Open|2011年4月5日

Site Area|125㎡

Floor Space|68㎡

Client|栗林歯科クリニック

Lighting Adviser|ヤマギワ 副島佳子

Construction|バロック 津越英和 / 武田久喜

Photo|14才 伊藤彰浩