オリジナルのサインはスチールの抜文字。ペールパープルとペールブルーの壁はアメリカ・Hirshfield’sの塗料。マイクロバーンによる抗菌作用もあります。
待合室の床は外の景色を眺めながらゆったりとした気分で過ごせるようカーペットを使用。天井面を柔らかく照らすシーリングライトは1963年にデザインされたデンマーク・louis poulsenのバレロップ。
受付カウンターは天然木の栓と人工大理石を組み合わせています。2枚の側板だけで床と接しながら、カウンター内に必要な電源やLANなどの配線も納まるように計画されています。奥の壁面収納にはカルテやプリンターなどが納まり、間接照明や換気設備なども組み込まれています。テーブルスタンドライトはイタリア・FLOSのKトライブ。
患者さんがくつろぐのはイタリア・LIVING DIVANIのソファとハリー・ベルトイアの名作、アメリカ・Knollのサイドチェア。エントランスから続く壁面にはフランス・ÉLITISのクロス。
待合室から診察室への通路はホワイトに焼付塗装したパンチングメタルのパーティションを天井から吊っています。工事会社の高い施工技術で繊細なディテールを実現しました。
床は日本の畳のようにヨーロッパでは古くから使われているオランダ・forboのリノリウム。亜麻仁油が含まれており、抗菌性、抗ウイルス性があり、顔料まで天然素材でつくられています。
消毒コーナーなどは天井を下げて空調設備を隠蔽させるとともに、天井高に変化を与えることで圧迫感を軽減させています。通路の照明は床から天井を柔らかく照らすドイツ・BEGAのバリドライト。
特診室にはドアがないにも関わらず、プランニングによりプライバシーを確保しています。ティッシュボックスなどの小物はイタリア・ALESSIのビリッロ。
> 水平に広がるクリニック
窓から自然光がたっぷりと入り、駅前広場のケヤキの木々を見渡せる、都内では恵まれた環境にあるケイデンタルクリニック奥沢。初めて計画地を訪れた時に一つだけ気になることがありました。床下の配管と天井裏のダクトスペースを考えると、天井高はわずか1970mmしか確保できず、普通のプランニングではとても圧迫感のある空間になってしまうことでした。そこで、空調計画との兼ね合いを考えつつ、外部に視線が抜ける回廊型のプランを試みました。エントランスから待合、そして診察室と水平に風景が広がっていくことで、どこまでも空間が続いていくような期待感を生み出しています。
壁面はペールパープルとペールブルー。天井から軽やかに吊り下げたパンチングメタルのパーティションは、マットな塗装の壁に美しい陰影をつくりだし、空間に彩りと変化をもたらします。スチールやガラスなどシャープな素材の中に、和のエッセンスを感じさせる天然木の栓材を加えることで、プレミアムな空気感や心地よさに包まれる感覚を生み出しました。四季のうつろいと共に過ごすことのできる空間は、患者さんが心地よく治療を受けられるだけでなく、先生の五感も満たし能力や技術を限りなく引き出すことができる空間となりました。
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KEI DENTAL CLINIC OKUSAWA|ケイデンタルクリニック奥沢
Website|kei-dental.com
Category|クリニック(歯科)
Address|東京都世田谷区奥沢3-33-12
Open|2013年6月4日
Floor Space|110㎡
Client|ケイデンタルクリニック奥沢
Lighting Adviser|ヤマギワ 副島佳子
Construction|バロック 津越英和 / 武田久喜
Photo|14才 伊藤彰浩