ガラス扉のロゴは院名の「H」と建物の形状をイメージしてデザインしています。
斜めの壁の下で患者さんがくつろぐのはドイツ・vitra.のジャスパー・モリソンによるソフトモジュラーソファ。
受付カウンターは人工大理石を継ぎ目のないシームレス接着しています。デザインの美しさだけでなく、汚れがたまる構造をなくすことでいつまでも美しく保つことができます。人工大理石は米国・デュポンのコーリアンを使用。ウイルスや細菌が入り込みにくい素材でアルコールなどの影響も受けにくいのでしっかり消毒することができます。
待合室と診察室をつなぐ通路。視線の先が暗いと不安になりますが、陰影で奥行きをつくり目指すところが明るくなるようにプランしています。
診察室は木の温もりと間接照明の柔らかい光で包まれています。塗装の色には患者さんの不安や緊張を和らげる効果もあります。イエローは明るくポジティブな気分にしてくれます。グリーンは自然に目の筋肉をゆるめてくれるので、リラックスして治療を受けることができます。
グレイですっきりまとめた特診室。照明や家具は北欧の美しいシルエットのものをセレクト。
レストルームのブラケットライトはデンマーク・louis poulsenのAJエクリプタ。壁付水栓はデンマーク・vola。共にアルネ・ヤコブセンのデザイン。
> 斜めの壁に包まれる空間
三角形を二つ並べたような敷地の最上階にあるHAGIOデンタルクリニック。北側の壁は屋根に沿って斜めになっている、これまでにない複雑な形をした物件でした。斜めの壁をバックヤードにして隠すこともできましたが、デッドスペースとは捉えずに空間の余白として生かすことを考え、複雑な形状を立体的に捉えながらプランを進めていきました。待合は斜めの壁に包まれるように、目線を低く抑えたソファでくつろいだ時間を過ごせるようにしています。建物をつなぐ長い通路はイエロー、グリーン、グレイと色に変化をもたせました。診察室では水平垂直をきれいに整え、空気まで澄んだような印象をつくりだしています。
北欧から取り寄せたオーク材のフローリングは、診察室の壁を基準にしてゾーンに関わらず一定方向に流して貼ることで、複雑な形状の建物を整え、空間の広がりを感じさせることができます。建物の形はロゴマークにも生かしています。与えられた条件に逆らうことなく建物の特性を生かしきることで、屋根裏のゲストハウスのようなおおらかに包まれる空間が生まれました。
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HAGIO DENTAL CLINIC|HAGIOデンタルクリニック
Website|hagio.dental
Category|クリニック(歯科)
Address|東京都目黒区平町1-27-2 FPC平町ビル4F
Open|2019年1月8日
Floor Space|173㎡
Client|医療法人社団HAGIOデンタルクリニック
Lighting Adviser|ModuleX 森田大介
Construction|バロック 佐藤洋一
Photo|OFP 長谷川健太